建設業における労働時間、休憩時間の設定
特別加入・社会保険
公開日:
労基法上では、以下の労働時間を超えた場合は時間外残業や休日残業として、割増賃金が発生します。
・1日の労働時間が8時間を超えた場合(時間外残業)
・1週の労働時間が40時間を超えた場合(時間外残業)
・毎週1日以上休日が取れず勤務した場合(休日残業)
現状、中小の建設業では完全週休二日制を実施している会社は少なく、給与計算上、想定外の割増賃金が発生していることも多いです。土曜出勤が多い中小の建設業で、1日の所定労働時間を8時間と設定し、週6日勤務した場合、その週の労働時間は48時間となり、1週40時間を超えた8時間分について割増賃金が必要となります。
そのため、土曜出勤が多い中小の建設業では、1日の所定労働時間や休憩時間を以下の通り設定していることが多いです。
① 毎週日曜日を所定休日とし、休憩時間を増やす
例)拘束時間 :始業 8時00分 ~ 終業 17時00分 (9時間)
内休憩時間:10時00分~10時40分(40分)
12時00分~13時00分(60分)
15時00分~15時40分(40分) 合計2時間20分
1日所定労働時間:6時間40分
1週所定労働時間:6時間40分×6日間 = 約40時間
② 毎週日曜日、隔週土曜日を所定休日とし、休憩時間を増やし、1カ月単位変形労働制(1ヶ月平均週40時間以内)を導入する。
例)拘束時間 :始業 8時00分 ~ 終業 17時00分 (9時間)
内休憩時間:10時00分~10時30分(30分)
12時00分~13時00分(60分)
15時00分~15時30分(30分)合計2時間00分
1日所定労働時間:7時間00分
1月平均の週所定労働時間:平均40時間以内
③ 毎週日曜日とそれ以外の日にちで年間休日87日以上設け、1年単位変形労働制(1ヶ月平均週40時間以内)を導入する。
例)拘束時間 :始業 8時00分 ~ 終業 17時00分 (9時間)
内休憩時間:10時00分~10時15分(15分)
12時00分~13時00分(60分)
15時00分~15時15分(15分) 合計1時間30分
1日所定労働時間:7時間30分
1年平均の週所定労働時間:平均40時間以内
年間休日日数:87日間
建設業では、年末年始やお盆休みなど長期連休を取得する場合も多いため、③のような年間休日を予め設定し、1年間の平均が週40時間以内に収まるよう設定することもあります。
1か月や1年の平均を計算して、週40時間以内に収めるなどの変形労働制を導入する場合は就業規則を作成したり、労使協定を作成したりする必要があります。その他、始業・終業時間や休憩時間は就業規則に規定を設け、従業員へ周知を行います。上記以外にも、会社の事情に応じて、様々な所定労働時間、休憩時間、所定休日、変形労働制の導入を行う場合があります。
想定外の多額の割増賃金の支払いが発生したり、気づかず未払割増賃金を発生させてしまったりすることのないよう、会社設立時には社会保険労務士などの専門家に相談して、労働時間の設定を行っておいた方が良いでしょう。
なお、当サイトを運営する「吉井財務グループ」は、税理士法人を母体とし、社会保険労務士事務所、司法書士事務所と連携して業務を行っています。
グループ社内には他にも行政書士を含め4つの士業でワントップにサポートする体制が整っており、会社設立から融資、助成金相談、税務、労務、建設業許可申請など、トータルサポートが可能です!